チーズの美味しさ伝えます!人との縁で育まれたチーズ愛。

酪農王国北海道。そんな北海道では今日もたくさんの工房で美味しいチーズが作られています。
今回は木工作家として活動しつつも、チーズが大好きゆえに売り子として各地に美味しいチーズを届けたり、チーズのミニ講座を行うなど他にはない働き方をする足立唯さんにお話を伺いました。
Profile: 足立唯
旅とチーズを愛する木工作家。チーズへの愛と知識を活かしていくつかのお店や工房、またはイベントなどで美味しいチーズをお客さんに届けている。RandoNNeur(ランドヌール)の屋号で木工作家として活動しており、北海道の食と木工を横断した独自の活躍を見せる。

木工とチーズが半分半分ですって言いながら、実はチーズに押され気味

よろしくお願いします。私いろいろやり過ぎてて友人や家族にも何やってる人なのかわからないって言われてるんですけど、今日はチーズのお話ですよね。

― はい。木工作家でもある足立さんですが今日はチーズのお話をじっくり聞かせてください。札幌のフードイベントでチーズの売り子をされているのをよく見かけていたので、一度お話を伺ってみたかったんです。

チーズの売り子は色々なところでやっています。百貨店でやっているチーズフェアだったり、アンジュ・ド・フロマージュというチーズ工房のスタッフとして関東圏の北海道物産展に立ったり、人が足りない時のヘルプだったりとそれぞれ個別に請け負っています。

ひとつの所に所属してるわけじゃないんですね。さすらいのチーズ売りって感じでしょうか。

はい、全部バラバラなんです。
いきなり「チーズのイベントあるから売り子お願い!」と言われても対応出来る経験がついてきたので、そういうの請けてるうちにだんだんチーズ関連の仕事を頂くようになった感じです。

売り子としてのスタートは札幌でチーズ販売のイベントを手伝う機会があり、後に帯広と札幌のでっかいチーズのイベントでチーズ専門の方の補佐の役割で携わり始めたんです。それが回を重ねるごとに段々と経験も付いてきて、補佐じゃなくなってきて。
最初は補佐だったのですが、イベントを主催する運営の方から、直接仕事を頂くようになったりしています。売り子としてはそんな経緯かなと。

― 自分でチーズ仕入れたりはしていないんですか?

結構チーズ屋さんと思われたりもするんですけど、自分でチーズ仕入れて売ることは少ないです。
木工作家として自分のイベントをする際に、たまーに知り合いのチーズ屋さんから送って頂いて売ったりするくらいかな。チーズは作らないの?と聞かれることもありますが、基本的には売り子だけです。

― 売り子の引き合いって多いんですね。

私は日程の融通が利くからというのもあると思います。
春と夏に関東でやる北海道物産展にチーズ工房が出店する場合、工房の職人さんだと一週間も二週間も工房を空けられないですから。
そこのところ私は「いいよいいよー」って気軽に行けるので、仕事の前後に遊びの旅程なんかも入れつつ楽しんでいます。チーズも好きだけど旅行も大好きなので長距離移動も苦じゃありません。

― 一週間二週間…!そうですよね開催期間ってなるとそれくらいの長さになりますよね。

はい。なので木工とチーズ半分半分で活動してますって言いながらも、最近は若干チーズに押され気味な感じなんです(笑)

私はそのまんま食べるのが好き。

― 普段どんな風にチーズを食べていますか?

私はそのまんまが好きだなぁ。それか簡単にチーズトーストくらい。あんまり凝った料理には使わないでそのまま食べる事が多いかな。
日常的に食べるのはウォッシュタイプみたいに香りが強いものよりも、食べやすいチーズが中心ですね。リコッタチーズも好きだし、ハードタイプのチーズを切ってぱくぱくつまむのも好きです。
ホント毎日食べてるので冷蔵庫のちっちゃいポケットのところがチーズコーナーになっています。常に何種類か入っていて、それが切れたら直ぐ買いに行きますね。

― わかります。私もチーズ好きなので冷蔵庫に常備してつまんでいます。

おやつ代わりだよね。甘いものよりもチーズを食べます。

チーズのイベントに参加した後だと家の冷蔵庫がすごくなっちゃいませんか?

すごくなりますね(笑)。イベント関係者用の冷蔵庫に「足立」って書いた自分で買ったチーズがどんどん溜まっていきます。東京で仕事する時も北海道で売ってないチーズを見つけたら買ってホテルで食べちゃいますし、食べ過ぎですよね

― 今まで食べたチーズの種類すごい数になっていそうですね。

何種類食べたかは流石にちょっとわからないですね。北海道にチーズ工房が130~140くらいあるので100種類とか200種類くらいは食べてるとは思うんですけど

― おすすめって聞いても良いですか?

実は、売場に立っていて一番難しい質問が「おすすめは何ですか」です(笑)

ですよね。種類も好みも沢山あるから一括りに出来ないですよね。

そうそう!私の好みで決めるにしたって、さけるチーズもブルーチーズも好きだから、どっちもお勧めになっちゃうしね。なので聞かれたときは硬いの柔らかいのとか癖があるのとか無いのとか、お客さんが普段何が好きかをまず聞いてみます。

自分が何を好きかわからない場合の取っ掛かりとしては、手頃な金額のものをちょっと買ってみて、気に入ったら同じチーズ工房の違うチーズを試してみたり、似た見た目の違うチーズ工房のものを試してみると良いかもしれません。
同じ種類のチーズでも工房が違うと使っている牛乳が違うから、味が全然違うんです。

― 私はナッツっぽいコクのあるものや牛乳の味がガツンとくるチーズが好きです。ミモレットとか。私もそのままが食べることが多いんですけど、他にどんな食べ方がありますか?

チーズによっておすすめの食べ方は色々あるけどいくつか紹介すると…。

最近はブルーチーズに蜂蜜をつけるっていう食べ方を試す人が増えていたり、梨やリンゴとブルーチーズを一緒に食べるっていうのもあり。リコッタチーズだったら今の季節(秋)は柿やイチジクと一緒に和えてデザートっぽくしても美味しいです。

日本酒に合わせるならミモレットの長めに熟成させたものなんかが、カラスミに似た風味があったりするのでお勧めです。ドライフルーツがついた甘いデザートチーズも良いですね

あ!あとは私、チーズをごはんの中によく埋める!

― えぇ!?

硬めのチーズを温かいご飯の中にぎゅぎゅっと埋めておいて、ちょっと柔らかくなったやつを食べたりします。チーズおかかじゃないけど、あのノリで。
あと卵かけご飯のときに醤油代わりとして、しょっぱい系チーズのオリーブオイル漬けを一緒に食べます。

―へぇー!その食べ方は聞いたことありません…!今度ちょっと試してみようかな。

あとは私コーヒーをすごい飲むんですけど、それと一緒にチーズ食べたりもします。コーヒーに合わせるなら黄色くて固いコンテチーズのようなハードタイプですね。
あ、でもコーヒーの種類によっては白かびチーズ食べてから飲むとなんか変な味がします。

―コーヒーが合うのは意外でした。うちでも良く飲むのでこの後コーヒーに合うチーズ買って帰ります。

チーズに詳しくなれたのは仲良しが増えたから

北海道のチーズを一番買って食べる理由は作ってる人が周りに沢山居るからっていうのが大きいです。もちろん味も好きですけど、工房で作る過程も見ているし、牧場がある場所ではこの牛から取れた牛乳から出来てるのかーとかね

―北海道のチーズの魅力はどこだと思いますか?

北海道のチーズは食べやすめというかマイルドなものが多いです。しょっぱ過ぎない日常の食卓に上りやすいようなチーズが多くて、結構子供が好きだったりします。

あとは北海道に住んでいると生産地から近いからフレッシュチーズが直ぐ届くんです。たとえばモッツァレラチーズをヨーロッパから輸入すると空輸でも数日かかります。北海道なら本当に作って直ぐのチーズが手に入るのが良いですね。

―チーズ工房さんとはどうやって知り合ったんですか?

最初は勤めていた飲食店の方たちに連れて行ってもらいました。
知り合いのチーズ工房や農家さんに遊びに行くときに「一緒に行く?」と聞かれたので「行く行く!」ってついて行ったのがきっかけです。
それは別に仕事ではなくて完全に遊びの旅行で、休みの日に工房さんのところへ行って餅つきしたり敷地内でスノーモービルやったりBBQしたりしていました。

―た、楽しそう…!

実は最初からチーズに詳しくなろうと思ってたわけじゃないんです。
もちろん食べるのは好きでしたけど、そうやって工房さんと友達みたいに仲良くなった結果として、チーズについてどんどん詳しくなっていきました。

遊びに行くといろいろ買って食べるのはもちろん、作る工程なんかも見聞きしますし。仲良くなると催事のお手伝いも頼まれたりと、その繰り返しでチーズ売りとしての知識が蓄えられました

もともとチーズが好きではあっても、その上さらに知識がついたのは人との繋がりが大きかったんですね

今では新しいチーズ工房が出来たらとりあえず買って、行くチャンスがあれば行ってみるようになりました

―その時はどうやってアポを取るんですか?

いきなり直接コンタクトはせずに、その新しい工房がある地域に居る他のそういう知り合いづてで遊びに行かせてもらったりします

― ネットワークができている…!

そうなんですよー。行けるチャンスがあったら友達とでも一人でも行っています。

ちっちゃいチーズ講座のお仕事が増えています。

― 何か今後やってみたいこととかありますか?チーズ関係で。

最近ちっちゃいチーズ講座みたいなのをやる機会がちょこちょこ増えてます。
何種類かのチーズを食べながらこれはこういう種類でどこで作ってますよって解説するミニ講座みたいな。

雑貨や飲食店の食器をコーディネートする会社に私の母校である札幌高専の先輩が居るんですけど、そこの企画でおしゃれな食器と北海道のチーズを合わせて美味しく食べながら、それらのチーズについて解説するような会を開きます。ワインも少し用意してわいわい楽しい会にするつもりです。

― 私も子供がもう少し大きくなったら行きたいです。

ふふふ。お酒じゃなくてお茶でやることもあるので是非。
というかお酒とチーズを楽しむ会にするとお酒好きが参加するイベントの雰囲気になっちゃうし、飲まない人は参加しづらいのでチーズメインのイベントが良いですね。

あとやりたい事と言ったら北海道以外のチーズも見に行きたいです

私は日本のチーズと言えば北海道しか浮かばないんですが日本だと他にはどの地域が有名なんですか

北海道のシェアはやっぱり一番大きいんですけど西日本や九州も多いです。牛が居て牛乳がとれるところ。関東だと千葉が意外と牧場が多いので見に行きたいなーって思っています

取材を終えて

今回はチーズをメインにインタビューさせて頂きましたが木工作家としての足立さんが作るものも素敵なのでそちらも要注目です。チーズ専門ナイフのEZABORなんかとてもかっこいいですよ

そしてインタビューの後にはさっそく足立さんが売り子をしているお店でコーヒーに合うチーズを買わせてもらいました!
牛乳の凝縮した甘みとコーヒーの苦みがマッチしていてこれは確かに美味しい…!良い組み合わせを教えてもらいまいした。
美味しいをひとつ知るたびに人生が少し豊かになった気がするのは気のせいでしょうか。

取材先の関連リンク
書き手
スキュー編集部

私たちは誰もが自分の好きを大切にできる、他人の”好き”を尊重しあえるような寛容さがある世界を目指して、こつこつコンテンツを作っていきます。